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2026年09月08日
ベルトコンベアのプーリーとは?種類・構造・役割と点検方法を図解
ベルトコンベアのプーリーとは、ベルトを掛けて回転させ、ベルトを駆動したり、進行方向や張力を調整したりする円筒形の部品です。
ヘッド、テール、ドライブ、スナブ、ベンド、テークアップなど、設置位置と役割によって呼び名が変わります。「ヘッド」「テール」は位置、「ドライブ(駆動)」「アイドラ(従動)」は機能を表すため、同じ分類ではありません。
先に結論:ヘッドプーリーが必ず駆動プーリーとは限りません。点検や手配では名称だけで判断せず、どこにあり、何をしているプーリーかを確認します。
この記事で分かることは3つです。
- プーリーの種類と、位置・機能の2つの呼び分け
- ラギングやクラウンといった表面加工が何をしているか
- 症状からどのプーリーを見るか、交換のときに何を伝えるか
用語の表記について:日本産業規格(JIS)は「コンベヤ」「プーリ」と表記します。この記事では現場で通りのよい「ベルトコンベア」「プーリー」を使い、規格の定義や部品名を示す箇所だけ規格の表記に合わせます。なお、JIS規格の本文は日本規格協会が有償で頒布しているため、リンク先には書誌情報のページを示し、定義は要旨を書いています。
なお「プーリー」という語だけで検索すると、機械設計や伝動部品のプーリーの情報が多く出てきます。この記事はベルトコンベアのプーリーに絞って書いています。設備全体の構造はベルトコンベアの仕組みと構造を先に読むと位置関係がつかめます。
ベルトコンベアのプーリーとは?3つの役割
プーリーは何本もついていますが、やっていることは「回す」「向きを変える」「張る」の3系統に整理できます。規格の用語では、向きを変える働きがベンドとスナブに分かれるため、下の表は4行になります。

| 役割 | 該当するプーリー | 規格上の定義 |
|---|---|---|
| 回す | ドライブプーリー(駆動プーリー) | コンベヤベルトを駆動するプーリ |
| 向きを変える | ベンドプーリー | ベルトの進行方向を変えるためのプーリ |
| 巻き付き角を増やす | スナブプーリー | ベルトの巻付け角度を増すためのプーリ |
| 張る | テークアッププーリー(テンションプーリー) | ベルトに張力を与えるためのプーリ |
駆動しないプーリーはまとめてアイドラプーリー(従動プーリー)と呼びます。位置で呼ぶ名前は別にあり、終端にあるものがヘッドプーリー、始端にあるものがテールプーリーです。
プーリーの種類と位置|ヘッド・テール・スナブ・テークアップ

台数も配置も設備によって違います。小型のコンベアなら両端の2個だけということもあります。まずは「終端」「始端」「戻り側で張っているもの」「戻り側で角度をつけているもの」の4か所を見つけてください。
ヘッドプーリーと駆動プーリーの違い
規格は、ヘッドプーリーを「ヘッド部にあるプーリ」、テールプーリーを「テール部にあるプーリ」と、いずれも位置だけで定義しています。ヘッドプーリーという語そのものに「駆動する」という意味は入っていません。
実際には終端のプーリーが駆動を兼ねる構成が多いのですが、設備によっては別の位置に駆動があります。電動機と減速装置を円筒の中に収めたモータプーリという形式もあります。
現場で確認するときは、次の順で見ると外しません。
- モーターと減速機がどのプーリーの軸につながっているかを目で追う
- つながっている先が駆動プーリー。それが終端にあれば「ヘッド=駆動」の構成
- 図面や銘板があれば、駆動位置の表記を確認する
「うちはヘッドが駆動です」と伝えるより、「終端側のプーリーの軸にモーターがついています」と伝えたほうが、こちらも正確に把握できます。
プーリーの構造|外筒・鏡板・軸・ボス
規格では、ベルトコンベヤ用プーリーを外筒・鏡板・軸で構成される円筒形のものと規定し、ベルトに巻き付き角度をもたせて駆動と誘導を行う部品と位置づけています。
部品メーカーの技術資料では、ベルトに接する外輪をシェル、それを両側で支える側板を鏡板、中心を通る軸をシャフト、鏡板とシャフトをつなぐ部分をボスと呼び、ボスとシャフトは焼きばめで固定し、トルクがかかるプーリーではキーを併用すると説明されています。
つまりプーリーは「太い筒」ではなく、軸・軸受・胴が組み合わさった構造体です。1つ壊れると、コンベア全体が止まることがあります。
プーリーラギングとは?滑りを抑える表面処理
プーリー表面に貼るゴムなどの被覆をラギングと呼びます。規格では、表面の摩耗防止や摩擦力を増すためにプーリー表面にゴムなどを貼ったものをラギングプーリと定義しています。

効き目は数字で示されています。駆動プーリーとベルトの間の摩擦係数は、次のように変わります。
| プーリー表面 | 乾燥 | 湿り(汚れなし) | 湿り+汚れ |
|---|---|---|---|
| 裸の鋼製 | 0.35〜0.4 | 0.1 | 0.05〜0.1 |
| 溝付きゴムラギング | 0.4〜0.45 | 0.35 | 0.25〜0.3 |
| 溝付きポリウレタンラギング | 0.35〜0.4 | 0.35 | 0.2 |
| 溝付きセラミックラギング | 0.4〜0.45 | 0.35〜0.4 | 0.35 |
(出典:JIS B 8805:1992「ゴムベルトコンベヤの計算式」表4/書誌情報:日本規格協会/参照日 2026-08-12。設計計算に用いる値であり、現場の実測値ではありません)
裸の鋼製プーリーは、濡れて汚れると乾燥時のおよそ3分の1から8分の1まで落ちます。ラギングが摩耗して鉄面が出た状態は、これに近づいていきます。「前は動いていたのに、雨の日だけ滑る」という症状は、この表で説明がつきます。
ラギングの溝形状にも役割の違いがあります。部品メーカーの解説では、摩擦を高めるスパー型、異物除去効果を併せ持つダブルヘリカル型、正逆運転に対応し面圧に強いダイヤカット型、ゴムより高い摩擦力が得られるとされるセラミック型(上の表では、濡れて汚れた状態で差が出ます)、搬送物の付着を防ぐフラット型が挙げられ、ダブルヘリカル型は正逆運転には対応しないとされています。正逆運転する設備でラギングを選び直すときは、この点を伝えてください。
滑りへの対処全体はベルトコンベアが滑る原因と対処法にまとめています。
クラウンプーリーとは?中高形状の役割
表面を中高(なかだか)にしたプーリーをクラウンプーリと呼び、ベルトの走行安定性を高めるためのものと定義されています。
部品メーカーの解説では、シェル端部をテーパ状に加工することで中央部と端部に周速度の差が生まれ、それがベルトを中央へ寄せる調芯効果になると説明されています。
摩耗でクラウンが失われると、この効果も薄れます。ベルトが寄る症状が出たときは、テークアップの調整だけでなく、プーリー表面の形が残っているかも見てください。
プーリーとローラーの違い
規格上、プーリーはベルトに巻き付き角度をもたせて駆動と誘導を行う部品、ローラーはベルトを支える側の部品として定義されています。
現場では両端のプーリーを「ローラー」と呼ぶこともあり、それ自体は珍しくありません。ただ、部品を手配するときは区別が必要です。プーリーとローラーでは寸法体系も価格帯も違います。ローラー側の種類はベルトコンベアのローラーで扱っています。
症状別|先に点検するプーリーと確認箇所

ベルトが送られない・遅れる(滑り)
駆動プーリーとベルトが滑って十分な駆動力を伝えられない状態は、規格用語でベルトスリップと定義されています。見るのは駆動プーリーの表面(ラギングの摩耗・付着物)と張力、そして巻き付き角です。
設計計算では、駆動プーリーの緩み側張力を、摩擦係数とベルト巻付角から求めます。摩擦係数か巻き付き角のどちらかが大きくなれば、必要な張力は小さくて済みます。スナブプーリーで巻き付き角を稼ぐのは、この関係を使っているからです。張力だけで滑りを抑え込もうとすると、軸受とベルトに負担が移ります。
片側に寄っていく(片寄り・蛇行)
規格は、左右に横ずれを繰り返しながら走る状態を「蛇行」、片側に横ずれしたまま走る状態を「片寄り」として区別しています。
古い技術資料ですが、ベルトが一方に片寄る原因の筆頭として「キャリア、プーリが一直線上に並んでいない」ことが挙げられています(出典:吉田丈二「コンベヤベルトのじょうずな使い方」日本ゴム協会誌 43巻4号(1970年)/参照日 2026-08-12。1970年の資料であり、当時主流だった帆布芯体のベルトを中心とした記述です。現行のベルトでは仕様が異なる場合があります)。
同資料は、テールプーリーやスナッププーリーへの固着物が、ベルトの耳が折れ重なる・裂けるといった症状として一定間隔で現れる場合があるとも述べています。プーリー表面の付着は、ベルトの端の症状として出ることがあります。 蛇行の調整手順はベルトコンベアの蛇行を参照してください。
異音がする・軸が熱い
プーリーの軸受(ベアリング)を疑います。停止・電源遮断・再起動防止をしたうえで、手で回して引っかかりやガタを確認します。運転中に手を近づけてはいけません。動かない・うなるといった症状の切り分けはベルトコンベアが動かない原因にまとめています。
付着物が固まっている
同資料は、プーリーに付着物が多いとベルトの蛇行、カバーゴムの異常摩耗、芯体の局部疲労の原因になると指摘しています。付着物でできた凸部が平滑部より大きな張力を受け、その部分の疲労が進むためです。対策として適正なベルトクリーナの取り付けを挙げつつ、それでも完全には防げないため定期的な除去が必要としています。
規格にも、プーリーの付着物をかき落とすプーリスクレーパが部品として定義されています。付着に困っている設備は、清掃の手間ではなく部品構成の見直しで解ける場合があります。
プーリー径を決める条件
プーリーの径は「入ればいい」というものではありません。小さすぎるとベルトの曲げが強くなり、屈曲疲労が進みます。
ベルトメーカーのFAQでは、最小プーリー径以下でベルトを使うことについて、心体の曲げひずみが大きくなり屈曲寿命が低下するため推奨しないと回答されています。
前掲の1970年の技術資料も、標準最小プーリー径より小さい径を使うとベルトの継ぎ目の剥離を起こし、ときに切断の危険も生じると述べ、機長を延ばしてベルトのプライ数を増やしたのにプーリーをそのまま使い、継ぎ目の切断が多発した事例を報告しています。
ベルトを変えるときは、プーリー径が新しいベルトの最小プーリー径を満たしているかを必ず確認してください。 具体的な径はベルトの構造ごとに違うため、メーカーの仕様に従います。
プーリー交換・見積もりで必要な寸法
規格は、ベルトコンベヤ用プーリーの呼びを、ベルト幅・プーリー外径・鏡板部軸径・軸受径の4つで構成すると定めています。手配のときに最初に聞かれるのは、この4つです。

同規格は、プーリー外径を200・250・315・400・500・600・630・700・800・900・1000・1100・1200・1250・1400・1600mmの系列で定めており、ラギングを施す場合はこの寸法にラギングの厚みを加算するとしています。またプーリー幅はベルト幅より広く取るのが標準で、たとえばベルト幅800mmに対してプーリー幅950mmといった対応が示されています。
寸法と一緒に、次を添えていただけると絞り込みが早くなります。
- ラギングの有無と、正逆運転をするかどうか
- 軸受の形式と取付ピッチ
- コンベアの機長・揚程・モーターの仕様
- 搬送物、温度、水や薬品がかかるか
部品メーカーも、プーリーの設計にあたって外形寸法だけでなく、電動機の仕様を含めた設備全体の使用環境を確認したうえで、シャフト・シェル・鏡板・軸受まで強度計算を行うとしています。プーリーは単品ではなく、設備条件込みで決まる部品です。
現物が外せない場合は、写真と概寸からでも絞り込めます。プーリー全体・軸端(軸受まわり)・ベルトとの接触面の3か所が写っていると助かります。
ベルトコンベアのプーリー点検と安全上の注意
労働安全衛生規則は、コンベヤーを用いて作業を行うとき、その日の作業を開始する前に4項目の点検を事業者に義務づけています。そのうち2項目にプーリーが登場します。
- 原動機及びプーリーの機能
- 逸走等防止装置の機能
- 非常停止装置の機能
- 原動機、回転軸、歯車、プーリー等の覆い、囲い等の異常の有無
異常を認めたときは直ちに補修その他必要な措置を講じることも定められています(同第151条の83)。
点検や清掃で近づくときは、原則として必ず運転を停止し、起動装置の施錠や表示板の取り付けなどで、その作業者以外が動かせない状態にしてから行ってください(同第107条。運転中に作業せざるを得ない場合は、危険な箇所に覆いを設けるなど別の措置が求められます)。回転軸やプーリーなど危険を及ぼすおそれのある部分に覆いや囲いを設けることも同規則第101条で定められています。
厚生労働省の職場のあんぜんサイトには、稼働中のベルトコンベヤーで砂落としをしていた作業者が、ベントプーリーとベルトの間に用具ごと巻き込まれて亡くなった事例が記録されています。ベルトやプーリーへのカバーがまったく無かったことが原因として挙げられています。
始業前点検の進め方はベルトコンベアの点検チェックリストにまとめています。
プーリーの摩耗・付着を相談するときの写真
プーリーは、症状が出てから交換までに時間がかかることがある部品です。径・幅・軸径・軸受径に加えてラギングの仕様まで決める必要があるためです。気になった段階でご相談いただくほうが、止まってから探すより結果として早く収まることが多いです。
送っていただきたいのは次の3枚です。
- プーリー全体(ベルトが掛かった状態)
- 軸端(軸受まわり)
- ベルトとの接触面(ラギングの状態が分かるように)
三益商会はコンベアベルトと工業用ゴム・プラスチック製品を扱う専門商社です。名称が分からない状態でもかまいません。ベルトでもゴム製品でも、まずは一声かけてください。
よくある質問
Q. 「スナッププーリー」と「スナブプーリー」は同じものですか。
A. 規格が採録しているのはスナブプーリで、「ベルトの巻付け角度を増すためのプーリ」と定義されています。「スナップ」という表記は規格には出てきません。一方、現場向けの解説では「スナッププーリー」の呼称も使われており、説明されている機能は同じ(巻き付き角を増やす)です。ただし両者を同一の部品と明記した規格・公的資料は確認できていません。手配のときは、位置(戻り側のどこにあるか)を併せて伝えていただけると、行き違いが起きにくくなります。
Q. プーリーだけ交換すれば直りますか。
A. 症状によります。ベルトの端が傷んでいる、片寄りが続いているといった場合、プーリーの芯ずれや据付が原因のことがあります。プーリーだけの交換でよいか、芯出しや据付調整も必要かは設備ごとに異なります。現地での交換作業を含め、設備全体と症状が分かる写真を添えてご相談ください。
Q. ラギングだけ貼り直せますか。
A. プーリー本体の状態や使用条件によって対応が異なります。ラギングの貼り替えやプーリー本体の交換を含め、現在の外径がラギング込みか鉄地の寸法か、表面状態と設置状況が分かる写真を添えてご相談ください。現物と設備条件を確認したうえで、対応方法を整理します。
Q. プーリーとテークアップは別物ですか。
A. テークアッププーリー(テンションプーリー)は「ベルトに張力を与えるためのプーリ」で、プーリーの一種です。それを動かして張力を作る装置全体はテークアップ装置(緊張装置)と呼び、ねじ式・重錘式・ばね式・動力式があります。
参考資料:JIS B 0140・B 8814・B 8805/労働安全衛生規則・厚生労働省の災害事例/JRC・ニッタ・研機のプーリー技術資料/吉田丈二「コンベヤベルトのじょうずな使い方」(1970年)。
※図解は概念図です。点検・調整・補修は、設備の取扱説明書、ロックアウト手順、メーカーまたは専門業者の判断を優先してください。
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