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ベルトコンベアの仕組みと構造。部品の役割と点検の基本

2026年09月04日

ベルトコンベアの仕組みと構造|部品名称・種類・点検箇所を図解

ベルトコンベアとは、輪状のベルトをプーリーに掛け、モーターの回転を使って搬送物を連続的に運ぶ装置です。ベルトは押されるのではなく、駆動プーリーとの摩擦によって引っぱられて動きます。

仕組みと部品の役割が分かると、「滑る」「片側に寄る」「異音がする」といった不調に対して、どの場所から確認すべきか判断しやすくなります。

先に結論:ベルトコンベアは、モーターと減速機で駆動プーリーを回し、摩擦でベルトを送る仕組みです。プーリーがベルトを動かし、ローラーがベルトを支え、テークアップが必要な張力を保ちます。

この記事で分かることは3つです。

  1. ベルトが動く仕組みと、そこで張力が果たす役割
  2. 主要部品の名称と、それぞれが何をしているか
  3. 日常点検で見る場所と、部品を相談するときに伝える情報

用語の表記について:日本産業規格(JIS)は「コンベヤ」「ローラ」「プーリ」と表記します。この記事では現場で通りのよい「ベルトコンベア」「ローラー」「プーリー」を使い、規格の定義を示す箇所だけ規格の表記に合わせます。

ベルトコンベアとは?基本の仕組みを簡単に

ベルトコンベアの動力は、モーターから減速機を経て、ベルトが巻き付いている円筒(駆動プーリー)の軸に入ります。軸が回ると円筒の表面が動き、その表面とベルトの間に生じる摩擦がベルトを引きます。

モーター、減速機、駆動プーリー、ベルトの順に動力が伝わる流れと、プーリーに巻き付いたベルトの摩擦を示した図
図解:動力はモーター、駆動プーリー、摩擦の順でベルトに伝わる。

摩擦で送る以上、摩擦が足りなければベルトは動きません。設計時も、駆動プーリーでベルトが滑らないことを前提に必要な張力を考えます。

摩擦を左右するのは、主に次の3つです。

  • プーリー表面とベルトの間の摩擦係数(表面の材質、濡れ、汚れ)
  • 巻き付き角(ベルトがプーリーに何度ぶん巻き付いているか)
  • 張力(ベルトがどれだけ張られているか)

プーリーやベルトの表面が濡れたり、粉や油で汚れたりすると摩擦が弱くなります。必要に応じて、プーリー表面に溝付きのゴムラギング(表面被覆)を施す方法もあります。

粉や水がかかる現場では、表面の状態まで含めて確認することが大切です。滑りの症状と対処はベルトコンベアが滑る原因と対処法で詳しく扱っています。

ベルトコンベアの構造図|主要部品を4つの働きで整理

部品を一つずつ覚える前に、働きで4つに分けると迷いません。

働き主な部品何をしているか
送る・向きを変える駆動装置、各種プーリーベルトを引き、折り返し、巻き付き角をつくる
支えるキャリアローラー、リターンローラーベルトのたわみを防ぎ、荷の重さを受ける
張るテークアップ装置たるみを取り、摩擦が成立する張力を保つ
囲う・受けるフレーム、脚、カバー、シュート、スカート全体を支え、荷を導き、人が触れないようにする
ベルトコンベア全体を側面から示し、ベルトとプーリー、ローラー、駆動・張力、フレームの役割を整理した図
図解:ベルトコンベアの全体構造と各部の名称。

ベルトコンベアの部品名称と役割

コンベアベルト

荷を載せて走る帯です。ゴムや樹脂のカバーの内側に、帆布(はんぷ=織布)などの補強層が入っているのが一般的です。厚み・幅・材質は搬送物と使用条件で決まります。汚れや劣化の見方はコンベアベルトの汚れ・劣化にまとめています。

プーリー

ベルトを掛ける円筒形の車を指します。駆動するものをドライブプーリー(駆動プーリー)、駆動しないものをアイドラプーリー(従動プーリー)と機能で分け、終端にあるものをヘッドプーリー、始端にあるものをテールプーリーと位置で分けます。このほか、張力を与えるテークアッププーリー(テンションプーリー)、巻き付き角を増やすスナブプーリー、進行方向を変えるベンドプーリー、走行を安定させるために表面を中高にしたクラウンプーリーがあります。

位置の呼び名と機能の呼び名は別の軸です。詳しくはベルトコンベアのプーリーとはで扱います。

ローラー

ベルトを支える円筒です。荷を載せた側を支えるのがキャリアローラー、帰り側を支えるのがリターンローラーです。キャリア側は複数本のローラーでベルトを支える構成が多く、リターン側は1本または2本で支える構成があります。種類ごとの違いはベルトコンベアのローラーで扱います。

駆動装置

動力源の総称です。一組で駆動するシングル駆動、独立した二組を使うデュアル駆動、駆動部を複数に分散するマルチプル駆動があります。電動機と減速装置を円筒の中に収めたモータプーリという形式もあります。

テークアップ装置

ベルトに張力を与える装置で、慣用語では緊張装置と呼びます。規格に載っている方式は4つです。

方式規格上の名称特徴
ねじ式スクリューテークアップねじを送って張る。短い機長で多い
重錘(おもり)式カウンタウェイトテークアップ重りで一定の張力を保ち続ける
ばね式スプリングテークアップばねの力で張る
動力式パワーテークアップ動力で張力を制御する

重り式のテークアップでは、重りの直下に人が入れないよう、覆いや囲い、落下防止装置を設けることが大切です。

フレーム・脚

ローラーやベルトを支える主要構造部をコンベヤフレーム、それを支える脚部をコンベヤ脚(スタンド)と呼びます。

荷を導く部品・落とす部品

乗継部で荷を滑り落とすシュート、流れを誘導する案内板のスカート、ホッパなどの出口に設けて供給量を調整するゲートがあります。付着物を落とす部品には、ベルト表面をかき取るベルトクリーナ、プーリー表面をかき落とすプーリスクレーパ、帰り側の異物をテールプーリーに巻き込ませないV形クリーナがあります。

安全のための部品

非常停止スイッチ、コンベア沿いの綱を引いて止める引綱スイッチ、危険箇所を覆う防護カバー、起動前に鳴る起動警報ベルがあります。異常を検知する部品には、蛇行検出スイッチ、速度スイッチ、シュートスイッチ、逆走を防ぐ逆転防止器(バックストップ)があります。

キャリア側とリターン側の違い

同じ1本のベルトでも、荷を載せて進むキャリア側と、空で戻るリターン側では条件が違います。

同じベルトの上側をキャリア側、下側をリターン側として示し、ローラーの本数の違いを対比した側面図
図解:行きは荷を載せる面、帰りは空の面を支える。

キャリア側は荷の重さがかかるため、一般にローラーを密に並べます。リターン側が支えるのは主にベルトの自重なので、キャリア側より間隔を広く取る構成があります。実際の取付間隔は、ベルト幅、搬送物、荷重、機長などに合わせて決めます。

プーリーとローラーの違い

現場では両端の太い円筒を「ローラー」と呼ぶこともありますが、規格上は区別されています。

左にベルトが巻き付いたプーリー、右にベルトを下から支えるローラーの列を並べ、役割の違いを対比した図
図解:プーリーは送る・向きを変える、ローラーは支える。
  • プーリー:ベルトを掛ける円筒形の車。駆動する、向きを変える、張力を与える、巻き付き角を増やす、といった働きを担う
  • ローラー:ベルトを支える円筒。荷や自重を受け、たわみを防ぐ

「駆動ローラー」「従動ローラー」という言い方は、荷を直接ローラーで運ぶローラーコンベア側の用語です。ベルトコンベアの話をしているときにこの語が出てきたら、どちらの設備の話か確認したほうが早く進みます。

ベルトコンベアの主な種類と見分け方

ベルトの断面の形と経路で分かれます。

種類断面・経路主な用途
フラット(平型)平らなまま箱・袋・トレーなど形のあるもの
トラフ形V字・U字・船底形粉体・粒体・バラ物
カーブドベルトコンベヤトラフ形で途中がカーブ経路を曲げたい場合
急傾斜ベルトコンベヤ安息角以上の傾斜上へ運ぶ
パイプベルトコンベヤ走行中は筒状に閉じる飛散・粉じんを抑えたい場合
サイドウォール付き側壁付きこぼれを防ぎたい場合

※「フラット(平型)」は現場で使われる通称です。「主な用途」は一般的な例で、搬送物や設備条件によって異なります。

平型とトラフ型のベルト断面を左右に並べ、ローラーの本数と荷の載り方の違いを示した断面図
図解:断面で見ると平型とトラフ型で載り方が違う。

傾斜させて運べる角度は、搬送物、搬送量、速度、ベルトの種類で変わります。平ベルトで滑る場合は、桟付きやヒレ付きなどの形状も候補になります。具体的な角度は、実際の搬送条件に合わせて確認してください。

ベルトコンベアの選定・手配で確認する条件

ベルトや部品を手配するとき、寸法だけでは品物が決まりません。規格が仕様として定義している項目と、搬送物の性状を合わせて押さえます。

設備側の寸法・仕様

  • コンベヤ機長(ヘッドプーリー芯からテールプーリー芯までの実距離)、水平機長、揚程、傾斜角度
  • ベルト幅、ベルト速度、ローラピッチ(ローラーの取付間隔)

搬送物・環境の条件

  • 何を運ぶか(粒度、形、付着しやすさ)
  • 見掛け比重(荷どうしの空間を含んだ単位体積あたりの質量。真比重とは異なります)
  • 安息角(積み上げたときに自然にできる斜面の角度)
  • 温度、油や薬品の有無、水洗いの有無

温度条件は特に見落とされがちです。同じ寸法でも、熱がかかる場所に一般用のベルトを入れると寿命が変わります。雰囲気温度とベルト表面温度の両方を確認し、条件に合うグレードを選んでください。

ベルトコンベアの日常点検で見る場所

労働安全衛生規則は、コンベヤーを用いて作業を行うとき、その日の作業を開始する前に次の4項目を点検することを事業者に義務づけています。

  1. 原動機及びプーリーの機能
  2. 逸走等防止装置の機能
  3. 非常停止装置の機能
  4. 原動機、回転軸、歯車、プーリー等の覆い、囲い等の異常の有無

同規則は、点検で異常を認めたときに直ちに補修その他必要な措置を講じることも定めています(第151条の83)。点検は記録して終わりではなく、是正までが一続きです。

点検や清掃で設備に近づくときは、必ず運転を停止してください。掃除・給油・検査・修理・調整で危険のおそれがある場合は、停止後に起動装置を施錠する、表示板を付けるなど、作業者以外が動かせない措置も必要です。

プーリーやベルトなどの回転部には、接触や巻き込まれを防ぐ覆い・囲いが必要です。カバーを外した状態で運転したり、稼働中に付着物を落としたりしないでください。

コンベヤの安全基準に関する技術上の指針には、設計・製造・設置・使用時の留意事項がまとめられています。省令の条文とは位置づけが異なるため、設備の取扱説明書や社内の安全基準と合わせて確認してください。

始業前に何をどう見るかは、ベルトコンベアの点検チェックリストに手順としてまとめています。動かない・うなるといった駆動側と電気側の切り分けはベルトコンベアが動かない原因で扱っています。異常が見つかったときの切り分けはベルトコンベアのよくあるトラブルと対処法から、症状別の記事へ進んでください。

部品名が分からないときの相談方法

部品の名前が出てこなくても困りません。次の3枚の写真があれば、こちらで部位を特定して話を進められます。

設備の全体、銘板・型式、気になる箇所という3枚の写真の撮り方をカードで並べた図
図解:名前が分からなくても、この3枚があれば相談できる。
  1. 設備の全体:コンベア1台が端から端まで入るように引いて撮る
  2. 銘板・型式:モーターや機側の銘板を、文字が読める距離で撮る
  3. 気になる箇所:音や振動、傷のある場所を、近くと引きの2枚で撮る

撮影も設備に近づく作業です。停止・電源遮断・再起動防止を済ませ、決められた作業位置から撮ってください。

三益商会はコンベアベルトと工業用ゴム・プラスチック製品を扱う専門商社です。部品の名前が分からない段階のご相談でもかまいません。ベルトでもゴム製品でも、まずは一声かけてください。

よくある質問

Q. 「コンベヤ」と「コンベア」、どちらが正しいのですか。

A. 規格と学会の事典は「コンベヤ」、労働安全衛生規則の条文は「コンベヤー」、一般の表記では「コンベア」も広く使われています。指すものは同じです。この記事は読みやすさを優先して「ベルトコンベア」を使い、規格の定義を示す箇所だけ規格の表記に合わせています。

Q. ヘッドプーリーは必ず駆動プーリーですか。

A. ヘッドプーリーは「ヘッド部にあるプーリー」という位置の呼び名で、駆動するという意味は含まれていません。駆動を兼ねる構成が多い一方、設備によって異なります。プーリーの記事で整理しています。

Q. 点検はどのくらいの頻度で行えばよいですか。

A. 法令で定められているのは、その日の作業開始前の点検です(労働安全衛生規則第151条の82)。それ以外の周期は設備の稼働状況や搬送物によって変わり、一律の数値は確認できていません。メーカーの取扱説明書と社内基準に従ってください。

Q. ベルトだけ交換すれば直りますか。

A. 症状によります。ベルトの傷みがプーリーやローラーの不調から来ている場合、ベルトだけ替えても同じ状態が再発することがあります。交換の判断はコンベアベルトの交換時期を参考にしてください。

主な参考資料

  • JIS B 0140:2019「コンベヤ用語」
  • JIS B 8805:1992「ゴムベルトコンベヤの計算式」
  • 労働安全衛生規則 第101条・第107条・第151条の82・第151条の83
  • 「コンベヤの安全基準に関する技術上の指針」

※参考資料は2026年8月12日に確認しています。

※図解は概念図です。点検・調整・補修は、設備の取扱説明書、ロックアウト手順、メーカーまたは専門業者の判断を優先してください。

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